Amazonから見るヘッドホンブームのエグイ話ヘッドライン2020/11/27

Amazonが過去最大のセールを行っていますが、みなさんなにか狙っていたものは出てきたでしょうか？
あてもなく商品を探していると余りの中華アイテムの多さに、見るだけでも結構きつい感じのボリュームになっていて
逆に、お薦めの中華製品をまとめたら十分に需要があるのではないかと感じました。

この頃のAmazonは中華汚染があまりに酷く、Amazon内での検索がびっくりするぐらい役に立ちません。
一応、アドレスの末尾に「&emi=AN1VRQENFRJN5」といれることで中華業者を非表示に出来ます。

Amazonで中国・中華業者を除外して検索する方法を紹介！【怪しい出品者/マイナス検索】 | Aprico

ここ数年では、Amazonのアフィリエイト収入はセールの前後は大きく落ちることが多いです。
Amazonのセールで沢山売れると言うよりは、セールによって買え控えが起きているようです。
また、セールにのっかて大手のサイトやYoutuberなど気合いを入れて記事や動画を作りますから
Amazonの裏での戦いは結構熾烈です。
そこにさらに乗っかるように中華業者からの商品提供、レビュー依頼もセールの少し前や決算期に集中しているように思います。

今回のセールはおそらく明日、日曜日が山場だと思われます。
とりあえずずっと買うかどうか悩んでいたAmazon echoを1台ぽちってみました。

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なぜAmazonのセールの話をするのかと言えば、このブログで最も売れたヘッドホンがおそらくHD599シリーズだからです。
亜種というかバージョン違いがかなり多いのでHD598もHD598SE、HD598SRもおおざっぱにHD599シリーズと呼びます。
プライムデーの特選セールで毎回安くなるアレです。うちも一台買いました。
金額としてはおそらくUltimate earsの10proやK701の方がずっと上だと思われますが、近年でもっとも大量に売れて印象に残っているヘッドホンはHD598シリーズです。

逆を言えば、HD599あたり価格帯のヘッドホン以外はほとんど売れていません。
初期のSFでは、いわば高級ヘッドホンの登竜門のようなヘッドホンが大量に売れていました。
中期では、低価格帯のDACややや高めのイヤホンなどがよく売れていました。
後期では、セールでよく出てくるようなヘッドホンと低価格帯のワイヤレスイヤホンが売れ筋でした。

一時期は、1~5万円高級ヘッドホンが毎日数本必ず売れていたのです。
ゼンハイザースレやナイスなヘッドホンなどスレも賑わい、だれもが同じヘッドホンほぼ同じ環境でオーディオ趣味を楽しんでいた頃のお話です。
業界全体の様子が少し変わってきたきっかけはHD800やT1、TH900などのフラッグシップヘッドホンが続々と主力製品として出てきた頃が一つの始まりだったでしょう。
ヘッドホン界隈でも新しいヘッドホンの出現に沸いていましたが、Amazonでの売り上げが急激に下がっていきました。
とどめを刺したのはAKシリーズの登場の頃でしょうか、この頃のオーディオ製品はAmazonで買う物ではなくなっていたのです。
それはつまり、一般消費者層がヘッドホンオーディオ趣味から離れていったとも言えます。
普通のお店つまりAmazonでは対応が出来ず、ヨドバシカメラや専門店でしか取り扱いが出来ない製品が増えていました。

晩年では中華イヤホンとワイヤレスヘッドホンの台頭により、再びAmazonのヘッドホン市場は動き出してはいましたが、
その頃では、AppleのEarPodsの勢力があまりに強く、さらには、中華の粗悪品にAmazonが汚染され始めるという苦しい状況でした。
加えてその頃、SFはヘッドホンへの興味をすっかりなくしてピュアオーディオへ偏向していました。

そんな中、救世主のように、出てきたのが”Amazon限定のゼンハイザーのヘッドホン”なのです。
ポイントは二つあります、まず価格帯安すぎず高すぎずのラインであること。
もう一つは、Amazon限定であることです。そして、Amazonセールでのみ大幅に値引きされているのです。

HD650やK701が中心的ヘッドホンだった頃、レビューや比較などの情報のまとまりの良さや
頑張ればだれでも手が届く価格帯、なにより一般層からしたら十分なスペック。
ヘッドホンブームが肥大して、ヘッドホンがどんどん高性能になるにつれてヘッドホン業界は歪さを増していったように思います。
ただ、アフィリエイトの売り上げが上がらないからこのようなことを言うのではありません。

あのときのネット上でのヘッドホン界隈の一体感やワクワク感は今では、ネットの衰退も相まって言葉では表せないような、エモーショナルで特別でした。
多くの人は不平等を嫌いますし、他者との違いを認めようとしません。
あの頃のヘッドホン業界は、誰しもが平等で均一であったと言えます。

大体同じようなヘッドホンのラインナップにヘッドホンアンプが組み合わされて同じ体験を同時に経験していたのです。
情報を得る手段も今よりもずっとシンプルで、皆が同じブログサイトや価格コムのレビューを見て次に買うヘッドホンを吟味していたように思います。

しかしそれも、長くは続きませんでした。
ユーザーの要望を超える様な製品が目まぐるしく発表され
ヘッドホンオーディオという買い物を楽しむことが許される人は少数派になってしまったようです。

ぶっちゃけていってしまうと、オーディオ製品はある程度の性能を超えたら価格に対する変化量は極わずかです。
価格が上がれば上がるほどにとことんコスパが悪くなってしまうオーディオ製品という沼に嵌まれる人はそう多くはないのです。
本当に大多数の人がHD650ですらオーバースペックで十分な満足感が得られるはずです。
これは聴いている音楽がどうとか、耳が良いとか悪いとかそういうレベルの話ではありません。
ほとんどの人がオーディオに拘る必要性というのがないのです。

それでいて、オーディオ業界はもっと高い物いいとか高い物の方がずっと優れているとかユーザーを煽りすぎました。
確かに、HD650とHD800では出てくる音はかなり違いますし、オーディオ的な性能の話をすれば間違いなくHD800の方が上です。

結局、ヘッドホンオーディオはやるべき事があまりに少ないので、ほとんどの人が買って箱を開封するところが瞬間最大満足度のピークです。
その後は音を確かめて軽くエージングして、いつもの音楽を聴きながら次に買うヘッドホンを考えるのです。
ヘッドホンと言えば音楽を聴く道具ですが、こうしてエンターテイメントして捉えたオーディオでは買ったところが絶対的な最大でありその後は、価値を少しずつ失っていくような気がしています。

それを業界ではとにかく新しい物をどんどん買って廻して行くように仕向けていくしかありませんでした。
これは資本主義社会である以上、経済活動をする以上、仕方のないことですが、買う以外の刺激的な体験が無い以上
買う側も売る側も、さらに高いヘッドホンを売ること買うことでしか価値を提供できなかったように思います。

ほとんどのヘッドホンが10年以上持ちますし、10年経っても新しい機種と比べて性能が変わっているかと言えばあまり代わり映えしません。12年前に買ったULTRAZONEのDJ1PROですら今でも十分楽しめて愛用しています。
あの頃ヘッドホンを楽しんでいた多くの人が、あのヘッドホン達をあのとき買ってあのとき感動して、それで終わってしまったように思います。

この流れに終止符を打ってしまったのが、iPhoneからイヤホンジャックがなくなり、ワイヤレスイヤホンが主力製品になった頃でしょう。
高級ヘッドホンという存在が市民権を得て、誰しもが1万円2万円するイヤホンを身近に身につけるようになりました。

ブームやお金云々の話よりも、ワイヤレスイヤホンの快適さから、有線の高級据置ヘッドホンは完全に過去のものになっしまったのでした。

今でも一部では、20万円30万円以上するような据置ヘッドホンが強く支持されていますが、HD650ブーム以前の静かなオタク趣味にまた戻った感じでしょう。
しかしそれは、以前のようなオタク同士のネット上でのお祭りにはならないのです。
よりひっそりと、マニアックで深く静かなオタク世界へと帰っていったようです。

言ってしまえばこの私もまた、ヘッドホンオタクには馴れなかった一般側の人だったのかも知れません。
このブログではオタクと言う言葉は、プロフェッショナルやその道のプロというような感じで、割と肯定的に使っています。
そういう意味で、ヘッドホンオタクになれるほどの熱量はなかったと思います。

この記事でうまく伝わるか自信がありませんが、ヘッドホンブームネットの全盛期がうまく重なってあの頃はよかったというお話でした。
ヘッドホンの昔話をしても大概の人にスルーされてしまいますがアフィと絡めて書いたらちょっと読みたくなってツッコミがくるのではないかなと思って書いてみました。
もし、今でも最前線でヘッドホンオーディオを楽しんでいる人がいましたら是非お話を聞かせてください。

それにしても今回のAmazonセールはあまりにぱっとしないです。コロナ禍、中華汚染、原因は一つではないですが、ネット上だけ見ても課題はあまりに多いように感じます。

おわり。